創麺屋 株式会社 (香川県)

小豆島の伝統産業を守るための新たな挑戦。簡単で食べやすい『冷凍調理手延べうどん』を通じて手延素麺づくりの文化を発信

直径約20センチメートルもの生地を徐々に細くして作る手延べうどん。麺を切った断面がないため、表面的には柔らかさを感じつつも、しっかりとしたコシが残るという独特な食感に仕上がりますが、ゆで時間が長いという難点がありました。そこで登場したのが、ゆでた直後に冷凍してお届ける『冷凍調理手延べうどん』。同社きっての人気商品となっています。

伝統的な製法に新たな発想を取り入れ、食べやすい商品づくりを追及

伝統的な製法に新たな発想を取り入れ、食べやすい商品づくりを追及

小豆島は瀬戸内海で2番目に大きな島です。そこで採れた小麦、食塩、ごま油を原料として作られたのが小豆島の手延べそうめんです。瀬戸内・小豆島に手延素麺づくりの技が伝えられたのは、約420年前と言われています。以来、小豆島の伝統産業として、その素材と製法を守り続けています。
「瀬戸内海に浮かぶ小豆島は雨量が少なく、もともとは天日を利用して麺を乾燥させるのに適した環境にありました。そのため、農家が農閑期に麺を製造。そういった背景から、国内でも有数の麺産地になったと思います」というのは、創麺屋株式会社の中村 素維社長。同社はその名の通り、小豆島の手延べそうめんの伝統的技法を守りながら、新たな麺文化の創造を通じた地域貢献を目指す企業として、これまでにそうめんはもちろん、うどんやパスタづくりに挑戦してきたといいます。
「私自身、小豆島で生まれ育ったので、そうめんの伝統的技術の素晴らしさは理解しています。その一方で、そうめんを食べる人がだんだん少なくなっているという状況を憂い、その技術を活かしながら、様々な商品を作っていけば小豆島の麺文化が伝えられるのではと考えました」。そういった発想の中で、生まれたのが、この「冷凍調理手延べうどん8食セット」。伝統的な製法に新たな発想を取り入れ、ユーザーが食べやすい商品づくりを追及した結果、冷凍でありながらも食感を再現できるものを提供するに至ったといいます。

一度食べた人の口コミで広がっていった

小豆島の麺文化を日本全国、各家庭にお届けするために、様々な工夫や販売ルート開拓を重ねてきたという中村社長。手延べそうめんの需要が落ちている理由として、“ゆでる手間が面倒と思う人がいるのではないか”と分析したといいます。

「ましてや手延べうどんは、さらにゆで時間が長くなってしまいます。それでは、せっかく美味しいうどんでも気軽に手に取ってもらえないと思いました。いかに時間を短縮させるかが課題でした。麺を細くするか、平たくして薄くすれば茹で時間は当然短くなりますが、食感が損なわれてしまう。そこで思いついたのが冷凍麺。あらかじめゆでておいて冷凍にすればすぐに食べられる。そしてさらに簡単にするために具材も一緒に乗せておこうと考え、誕生したのがこの『冷凍調理手延べうどん』です」

麺をつくる技術は持っていたものの、麺をゆでたり冷凍するためのノウハウは持っていなかったという中村社長。「何か新しいことを始めるときは、当然時間もかかりますし、費用もかかります。今のかたちになるまでは何度も試して研究しましたね」

満足のゆく商品が出来上がったものの、すぐに爆発的に売れるわけではなく、例えばスーパーの店頭に並んでも、なかなか手に取ってもらえない経験があったという。
「しかし、なぜ我々が今も存続しているかというと、やはり、一度食べた人の口コミがあったからこそです。なので、一度は手に取って食べてみていただきたいです。リピートにも助けられています。贈答用などにも使っていただいて、そういった方々に支えられていますね」

その独特の食感を生む、手間暇かけた伝統技法

その独特の食感を生む、手間暇かけた伝統技法

『冷凍調理手延べうどん』の魅力は、その独特の食感にあるといいます。それは、手延べうどんならではの製法だからこそ実現できるものなのだとか。

「手延べうどんというと、なかなか馴染みが薄いかと思います。通常の手打ちうどんはご存じの通り、麺を薄く平らに伸ばして包丁で切りますが、手延べうどんは太いときは直径約20センチメートルくらいもある生地を徐々に細くしていき、2~3ミリメートルの太さにしていきます」

時間をかけて“より”をかけながら細くしていくので、麺をゆでたときに湯の浸透率が悪くなり、いくらゆでても湯伸びしない。同じ太さであれば、手打ちうどんは12~13分でゆであがるものの、手延べうどんは20分以上かかってしまうのだとか。そこが包丁で切った断面がある手打ちうどんとの決定的な違いであり、独特の食感を生む理由なのだといいます。
「麺を切った断面がないので、表面がつるつるとしています。なので、表面的には柔らかさを感じつつも、しっかりとしたコシが残ります。しかも、硬くてコシがある状態ではなく、柔らかい食感の中にコシを感じて、なおかつ歯切れがよい状態です。この独特の食感が忘れられないという、リピーターの方が非常に多くいらっしゃいます」

この“手延べ”という製法は、当然のことながらとにかく時間がかかります。しかし、中村社長はこの“時間をかける”ことにこだわっているといいます。

「熟成と伸ばしの繰り返しです。他社に比べて1.5倍はかけていると思います。時間をかけずに伸ばそうとすると、麺の断面が破壊されてしまいます。なので時間をかけて伸ばして、少し時間をおいてからまた伸ばすということの繰り返しです。断面が破壊されてしまうと、独特の食感が生まれません。これはもともとの小豆島伝統のそうめんの製法です。うどんは麺が太いので、麺が硬くならないような原料が重要です。そうすると我々の作業効率はとても悪いですが、それでも美味しく食べていただきたいという思いから続けています」

新しい麺文化を創造したいという思い

新しい麺文化を創造したいという思い

この『冷凍調理手延べうどん』は、開発してから11年ほど経っていますが、非常にリピーターが、多く同社最大のヒット商品に育っているのだとか。素麺作りを生業とする家に生まれた中村社長は30年前に独立して「創麺屋」を創業。伝統を守りながら、新しいチャレンジを続けるのには理由があります。
「新しい麺文化を創造したいという思いを持ちながら創業して30年が経過しました。しかし、伝統産業であるがゆえに新規参入が少ないため、30年経ったといってもまだ後発組ですです。なので後発の会社が何かをやろうとすると、新しいことをやらざるを得なかったというのが正直なところです」
既存のルートに営業をしたところでなかなか参入できなかったので、当時は通販会社など新しいチャネルに売り込みに行ったのだとか。そういった動きの中で、冷凍麺などの新しいアイデアが生まれ、それを一つひとつカタチにしていきました。
「これまでも同様、この先、明確な計画があるわけではありませんが、常に考え、目の前の課題を突破しながら、多くの人に愛される麺を作り続ける。新しい麺類はもちろん、元々の生業である素麺づくりにもしっかり向き合っていきたいと思います」

       

今回ご紹介した企業
創麺屋 株式会社(香川県小豆郡小豆島町)

平成3年の2月に設立。「麺文化を創造」したいという思いから、これまで“麺一筋”にこだわってきた会社です。丹念に一本ずつ延ばしてく手延べ麺の美味しさを、より多くの人々に知っていただき、 地域の活性化に貢献したいと考え、小豆島の伝統を受け継いだ手延べそうめんはもちろん、「創麺屋」という屋号に表されるよう、伝統技法を応用したうどんやパスタなど、新しい麺文化と価値を創造してきました。また、日本アカデミー賞10冠に輝いた名作「八日目の蝉」のロケ地としても知られています。

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