株式会社 日影茶屋 (神奈川県)

創業300余年の伝統ある日本料理店の利用客と地域への愛着が結実。季節限定、葉山~鎌倉の初夏を彩る『れんこん餅』

創業300余年、景勝地・葉山で歴史と伝統を重ねてきた日影茶屋。その敷地内にある蔵を改装して誕生した「菓子舗 日影茶屋」が提供する人気商品。厳選された原料を使用した、シンプルながら奥深い味に魅了されたリピーターも多く、3月頃になると「れんこん餅はいつ出るのか」と問い合わせがくるほどの季節の風物詩となっています。

老舗・日本料理屋の食後のデザートとして誕生

創業300余年、江戸中期に風光明媚な景勝地・葉山の旅籠として歩みを始めた日影茶屋。昭和の時代に入ってから、日本料理屋としての歴史を重ねてきました。築150年余という蔵の一部改装した「菓子舗 日影茶屋」で和菓子の販売を開始したのは約30年前のこと。日影茶屋が重ねてきた歴史の中では、比較的新しい取り組みのようにも見えますが、そこには老舗ならではのこだわりや、お客様に対する思いが詰まっていると宮田 将弘さんは説明します。
「毎年夏と冬、日影茶屋の中庭で餅つきを行っています。実はこの餅つきは約50年ほどの歴史があり、特に夏の餅つきは珍しいことから、葉山の風物詩として知られるようになりました。そこから生まれたのが、日影大福という餅菓子です」
上生菓子も含む一般的な和菓子ではなく、あくまで餅菓子を専門に販売を開始。餅菓子にこだわり、ラインナップを増やしていく過程で、れんこん餅が生まれたといいます。
「れんこんのでん粉を黒糖と和三盆で合わせると、つるんとしたわらび餅のような食感の、大変涼しげな味わいの餅菓子ができあがります。試作を重ね、今のれんこん餅の原型ができあがったのが今から20年ほど前のこと。まずは日本料理屋の食後のデザートとして出させていただきました」
このれんこん餅が好評を博し、食事を終えたお客様から「お土産に買っていきたい」という声が数多く寄せられたのだとか。
「そういったお客様の声にお応えしようと、当時の料理長が笹で巻いて、い草で口を縛ってお出ししたところ、お客様のウケが非常に良く、それが商品化のきっかけとなりました。今では4月中旬~8月末までの夏季限定商品として販売していますが、3月頃になるとお客様から『れんこん餅はいつ出るのか』とお問い合わせをいただくほどの人気を集めています」

古都・鎌倉のあじさい見物の帰りに立ち寄る人も

古都・鎌倉のあじさい見物の帰りに立ち寄る人も

日影茶屋が長い歴史を重ねてきた葉山からほど近い古都・鎌倉の地にある支店では、毎年6月、あじさい見物の帰りに立ち寄る観光客が後を絶たないのだとか。見た目も口当たりも涼しげなれんこん餅と相成って、入梅時期の鎌倉の風物詩として認識されているようです。「鎌倉周辺にお住いの方だけでなく、観光で訪れる、地方のお客様もお買い求めになられます。嬉しいことに『とても美味しかったので贈り物にしたい』とご注文いただき、ご愛好家が増えていっております」

れんこん餅は要冷蔵商品で、日持ちも5日間と決して長くはないため、これまではWeb通販による販売をしてこなかったといいます。「ところが遠方にいる大切な方にということで、宅配便などで送られる方も増えてきたので、お客様のご要望にお応えしようと、2020年7月から自社のオンラインショッピングサイトで販売を開始。非常に大きな反響がありました」

とはいえ、このれんこん餅はすべて手作りであるため、1日に多くても1300~1400個の出荷が精一杯。「コロナ前には常にその上限に届いてしまい、特注を受けられない状況にありました」

毎年、この時期になると食べたくなる上品な口当たりと喉ごし

毎年、この時期になると食べたくなる上品な口当たりと喉ごし

日影茶屋のれんこん餅の最大の特徴は、その口当たりと喉ごしの良さ。一度、食したことのある人ならば、毎年、この時期になると決まって“今年も食べたい”と思ってしまうリピーターが多いのだとか。そんなシンプルながら味わい深い涼味を実現できるのは、厳選された原料と料理人のこだわり、そして何よりもお客様に対する“思い”の深さによるといいます。
「シンプルな菓子だけに、原料の品質がダイレクトにれんこん餅の味わいに影響します。沖縄の波照間産の黒糖と、徳島の阿波産の和三盆を使用しています。いろいろと試作をした結果、もっともえぐみが少なくお菓子に最適なものをそろえています」

日本料理店として研鑽を重ねてきた日影茶屋には、当時、和菓子専門の職人はいませんでした。それでも和菓子の味を極めたいと考えた料理人が、京都の和菓子職人に教えを請い、こだわりを形にしていったといいます。
「反対に、れんこん餅を笹で巻くというのは料理屋ならではの視点です。笹で巻くというのは、口で言うのは簡単ですが実際にやってみると大変。しかも機械で笹は巻けないので、すべて手作業で巻いています。この地道な作業が、れんこん餅の季節感や涼味、そして個性を形作る大切な要素になっているのは間違いありません」

歴史ある日本料理店でありながら伝統や格式に甘んずることなく、常に地域の方々やお客様に喜んでもらおうと様々な趣向を凝らしていく、そんなサービス精神を持つ日影茶屋。食後のデザートにもこだわり、しっかりとプロの方に学びながら新しい挑戦を厭わず、しかも自分たちの感性を織り交ぜながら作り上げていく、そんな同店の姿勢がすべて、このれんこん餅に集約されているようです。

葉山の朝市では、れんこん餅の切り落としの販売も

葉山の朝市では、れんこん餅の切り落としの販売も

「菓子舗 日影茶屋」の葉山本店は逗子との境目にあります。古い日影茶屋の石蔵を改装した路面店で、その趣ある建物見学を楽しみに訪れる人も多いのだといいます。
「基本的に葉山本店では、料理屋にお食事に来たお客様が帰りにお土産に買っていくというスタイルの方が多くいらっしゃいます。逆に、これまでお店にお越しになったことのない方でも、このれんこん餅をはじめとする和菓子から興味を持って、料理を食べに来てくださる方もいます。そういった意味で、お客様との最初の接点として、和菓子も大きな役割を持っているのかもしれません」
創業300余年という伝統ある日本料理店であり、よく“敷居が高い”と言われるそうですが、「決してそんなことはない」と宮田 将弘さんは言います。
「毎週日曜日に葉山の朝市が開催されています。れんこん餅は生産過程でどうしても切り落としが出ますが、朝市ではその切り落としを低価格で販売しています。そういうところから“れんこん餅ってなんですか”と質問がくるので、お客様に説明をしています。そこで切り落としを召し上がったお客様が、実際にお店に購入しに来てくれるという流れになっています」
旅籠から日本料理店、そして和菓子販売や近年では仕出し弁当も始めたという日影茶屋。時代の流れに柔軟に対応しながら、常に新たな挑戦を続ける老舗の思いとホスピタリティを体現したれんこん餅を自宅で手軽に味わってみてはいかがでしょうか。

       

今回ご紹介した企業
株式会社 日影茶屋 (神奈川県三浦郡葉山町)

江戸中期に葉山の地で創業、300余年の間、地域や多くの利用客に求められる役割を果たしながら、伝統に向き合ってきた日本料理店。創業時は旅籠、明治期には料理旅館として歴史を重ねてきました。その名残は母屋にあり、今は使っていませんが、客室があります。昭和に入り、現在の日本料理店としての営業スタイルとなりましたが、近年和菓子販売の「菓子舗」、仕出し弁当を創業するなど、常に新しい挑戦に挑んでいます。

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