株式会社 日比谷松本楼 (東京都)

自宅が静かな公園の老舗洋食店に―「日比谷松本楼 ビーフセット」

日比谷松本楼は1903年オープン。東京の、つまりは日本の老舗洋食店の中でも最古参の1軒です。教科書で名前を見るような文化人や政治家にも愛され現在に至ります。

同店の看板メニュー、ビーフカレー・ハヤシビーフ・ビーフシチューの3種のレトルトをセットにしました。どれも時間をかけてレストランの味を忠実に再現した逸品です。

来店できないお客様のために

日比谷松本楼といえばカレー。創業時も、ハイカラなモガやモボの間で「松本楼でカレーを食べてコーヒーを飲む」ことが大流行しました。若い方は「モガ」「モボ」と言われてもピンと来ないかもしれませんね。「モダンガール」「モダンボーイ」の略で、大正~昭和初期の先端的な若者のことです。

日比谷松本楼では30年ほど前、来店されたお客様にお土産として特別な料理をお出ししていたそうです。そしてお店になかなか来られない方向けに、自宅で気軽に日比谷松本楼の料理を楽しんでもらおうとレトルト商品の開発を始めました。専門の部署ができる前、20年以上前のことです。歴史あるお店では、新しいチャレンジですら歴史があります。

「初めにビーフカレーとハヤシビーフを商品化したと聞いています」

同社のレトルト事業部の江村部長はいいます。

家にいながら気軽に食べられるように、という想いからの開発スタート。「お店に行きたいけれどもなかなか行けない」という人が食べたいと思うのは、やはり定番・人気の料理です。それに応えるべく、同社の代表的なメニューから着手したといいます。

「正直なところ、リスクはあったと思います」

江村部長はそう続けます。

「お店の看板を背負うわけなので。美味しくなかったらレストランまで大したことないと思われてしまいますし」

そのリスクを超えて今こうやってご紹介できるようになっています。今回ご紹介するのは、まさにそのビーフカレーとハヤシビーフ、そしてビーフシチューのセットです。

お近くの方にも、遠方の方にも

昔日比谷松本楼に通っていたけれどなかなか行けなくなってしまった、遠方に住んでいてずっと行ってみたいと思っている、まずは家で気軽に試してみたい…。お店に行きたいけど行けていないのにも、いろいろなケースがあることでしょう。どんなケースでも、とにかく自宅で気軽に日比谷松本楼の味を楽しみたいという方にお試しいただきたい、そう江村部長は話します。

「でもできれば、レトルト商品をきっかけにレストランに足を運んでもらいたいと思っています。遠方の方も、お店に行ってみたいなあという気持ちを持っていただけると嬉しいです」

そういいます。

すでにレトルト商品のファンも日本全国にいるとのことですが、実際にレトルト商品が気に入ってお店に食べに来てくれた方もいらっしゃるのだそうです。東京の友だちから贈ってもらったのがきっかけになった方をはじめ、本当にたくさんの方が来店してくれたといいます。

そしてリピーターも多いのだそうです。ほかのカレーは買わない、毎年ギフトとして購入している、友だちに紹介してくれる…。中には数十年ずっと購入し続けている方も。とくに多いのは、来店された方が帰りに購入して、自宅で楽しんだり友だちに贈ったりするという形だそうです。

どれも、忠実に再現された美味しさだからこそよい循環が生まれているというエピソードです。

100年以上続く歴史の味そのままを、温めるだけ

レトルト化にあたってこだわったのは、レストランの味の再現。しかし開発当時ですら100年近い歴史のあるメニューばかり。それを再現することは、本当に本当に苦労の連続だったのだそうです。

たとえばカレーは、レストランでは完成まで4日かかります。1日目はベース作り、2日目は肉の煮込み、3日目はブイヨンとベースを合わせてルー作り。4日目にようやく味付け・具材と合わせて完成です。味づくりには「寝かす」という工程があり、どうしても時間がかかります。

しかもレストランのキッチンとは違う環境で、同じものを作らなくてはいけません。キッチンの環境が違うと、同じことをしても同じ結果が得られるとは限りません。例えばお店で2時間弱火で加熱していたとして、レトルト用のキッチンで同じことをしてもできあがりが違ってしまうことは当たり前のように起こります。

同社ではシェフが監修し、製造工場に具材の分量や加熱の手順・加熱時間まで細かく指定して再現にこぎつけたのだそうです。試作は膨大な回数に及びました。

試作というのは、闇雲に繰り返すものではありません。作ってみて問題点をピックアップ、それを改善するための方法を検討して次の試作に挑みます。それを気が遠くなるほど繰り返したということです。

しかもレストランのようにできたてを提供するわけではありません。レトルトとして食べてもレストランと同じ味にするためには、料理の知識だけではなく科学的な知見や調理の機械に関する知見も必要です。

その結果、開発を始めてから商品化するまでには数年かかったのだそうです。ぼんやりと過ごしたのではない、改善に次ぐ改善の数年です。

しかし苦労の甲斐あって、レストランの味を忠実に再現。お店の常連の方からも、「レストランと味が違うよね」という声がまったくない商品が完成しました。お店に行けないときは予備のレトルト商品を食べている、そういわれるのだそうです。

また、江村部長はこうもいいます。

「ふつうはリニューアルや見直しをするんでしょうけど、」

「当社のレトルト商品はお客様からの評価も高く、大きな変更はせずに来ています」

まさに昔ながらの味を、しっかり忠実に再現している証なのでしょう。

「自信を持ってお出しできる、そう考えています」

江村部長は静かに、けれどはっきりとそう話してくれました。

格式ある伝統と今を生きる現代性

先にもお話しましたが、レストランとして確固たる評価を得ているのにレトルト商品を販売するのはリスクになりうることです。しかもお店の料理のクオリティを再現するとなると、ハードルはさらに上がります。

江村部長は話します。

「やればやるほど深いです。時間もお金もかかります。でも、息の長い商品を作ることを考えてやっています」

「今世間では変化球のような、ちょっと王道からずらしたカレーも出てきています。もちろんそれはそれでいいのですが、日比谷松本楼では明治時代から受け継がれてきた純粋な日本人に愛されるカレーを再現しています」

シンプルなカレーほど難しい。しかしそんな昔ながらの味を継承しています。

たとえば、流行りものをそこそこのクオリティで販売してそこそこ売れても、それは日比谷松本楼ではない。はっきりとそう言い切ります。

受け継いだ歴史にしっかりと敬意を払う。その上で軽く流行に乗るのではない形で、新しいことにもまっすぐにチャレンジしていく。

「変えてはいけない部分と変えなくてはいけない部分があると考えています。継承されてきた料理を残しつつ、今の時代に合ったメニューを提供しようという気持ちを常に持っています」

おそらく、大正時代のモガやモボが親しんだ日比谷松本楼のカレーは当時最先端のハイカラな料理だったはず。歴史を積み重ねると、歴史を守ることだけに意識が行きがちです。それは形骸化です。日比谷松本楼はそうならず、過去への敬意と創業時の本来の理念とを忘れずに展開しています。

ではそもそもの理念とはどんなことなのでしょうか。

「食を通じて心が豊かになってもらいたい。非日常を味わってもらいたい」

そういいます。

「その根底には安心・安全があります。間違いないものをお出しする。それは当社が歴史の中で培ったことです。今後も、今まで通りに続けていけたらと考えています」

そして、レトルト商品を気に入っていただけたら、ぜひお店で料理を楽しんでほしいと話します。店舗には同社の歴史を物語る品々が多数残されています。そういった歴史を感じながら、創業以来受け継がれてきた味を楽しんでほしい、そういいます。

ぜひこのビーフセットを初めの一歩としてください。

今回ご紹介した企業
株式会社 日比谷松本楼 (東京都江東区)

1903年、日比谷公園誕生と同時に公園内にオープン。おしゃれな店として評判を呼びます。現在ではレストラン業に加えてレトルト商品の開発・販売も行っています。スタッフひとりひとりのホスピタリティが受け継がれて百余年。日比谷松本楼の歩んできた道は、おもてなしの歴史でもあります。そしてその精神はレトルト事業にも引き継がれています。食を通じて非日常的な体験をしてもらい、心が豊かになってもらうため活動中です。

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