株式会社 松尾 (和歌山県)

鮮度と安全性への飽くなきこだわり―「あら川の桃ドリンク ギフトセット」

和歌山県は日本有数のフルーツ王国。みかん、梅、柿など収穫量全国1位の作物も多くあります。桃は全国5位ですが、紀の川市桃山町の「あら川の桃」はその高い品質で知られています。

「株式会社 松尾」の「あら川の桃ドリンク ギフトセット」は、みずみずしいあら川の桃を原料に、手作業でていねいに作られたフレッシュな桃のジュースのセットです。

高級でデリケートがゆえにロスも出ていた「あら川の桃」

桃はとても傷みやすいデリケートな果物です。しかも旬は夏。暑い盛りでの収穫や輸送は、なおさら傷みを防ぐための気配りが必要となります。

先ほど、あら川の桃が高い品質で知られている、といいました。しかし初めてその名前を聞く方も多いかもしれません。初めての方は、関西以外にお住まいではありませんか?

あら川の桃は関西では高級品。京都の料亭などでもデザートとして使われています。上品な甘さの果汁がしたたり落ちるほどジューシーで柔らかい果肉が特徴です。

しかしその柔らかさのため大変傷みやすく、長距離の輸送に向きません。全国的に有名な山梨や長野・福島の桃は、果肉がしっかりしており長距離の輸送に耐えうるのだそう。あら川の桃はもっぱら近隣の関西で賞味されてきました。

そして高級品がゆえに、わずかな傷でも商品価値を損ねてしまいます。味は無傷の桃とまったく変わらない。しかしごく小さな傷のせいで出荷できない。そんなことがふつうでした。

手塩にかけて育てた桃を廃棄するほかないのは、本当にしのびない。

みかんジュースを製造している「株式会社 松尾」の松尾社長は、そう知り合いの農家さんに相談されたそうです。そこで、あら川の桃でジュースを作ろうと思い立ちます。

安心・安全なジュースを飲んでほしい

松尾さんは、ぜひ子どもなど「安心・安全な桃ドリンク」を飲みたい・飲ませたい人に飲んでほしい、と話します。

「家庭でフルーツジュースを作るときは、鮮度のいい果物を使いますよね」

松尾さんはそう言って、さらに続けます。

「傷んでいるところがないか目で確認しますし、問題があるところは取り除きますよね。自分や、自分の子どもが飲むジュースはそうやって作ると思うんです。私も、そういうジュースでないと飲みたくありません。だから家庭で作るように、当たり前のやり方でジュースを作っています」

しかし大量生産で果物のジュースを作るときは、皮もむかず実の状態も確認せず丸ごと搾汁していくのがふつうなんだそうです。種もそのまま。傷んでいるところもそのまま。仮に虫がついていてもそのまま。

「私がそういうジュースを飲みたくないんです」

だからこそ手間をかけているし、手間をかけなくてはいけないと思っているのだそうです。

「ただ、どちらがいいかは消費者の皆さんが決めることです」と松尾さんはいいます。大量生産はそのぶん値段が安くなる。手間をかければ高くなる。値段との兼ね合いです、と。同社のジュースは、「プチ贅沢」として安心・安全なものを飲みたいときや飲みたい人に飲んでほしいと話します。

商品づくりへのこだわりが認められ、「あら川の桃ドリンク」は県が推奨する優良商品「プレミア和歌山」にも選ばれています。

鮮度と安全性への飽くなきこだわり

安心・安全なジュースづくりの具体的な方法を聞くと、原材料や鮮度へのこだわりに驚くことばかりでした。

まず仕入れ。鮮度を保つために農家と契約して新鮮なあら川の桃を確保しています。桃は、見た目ではジュース用と思えないほどの高い品質のもの。

そして収穫期は社長自ら農家さんを回るそうです。しかも収穫したてを仕入れるために1日2回。

「それが毎日続きます。私は、収穫期は2か月半休みなしなんです」

松尾さんは笑います。しかし高い志がないと毎年毎年続けることはできないのではないでしょうか。

しかも運搬にまで気を配ります。桃と桃を重ねないようにしているそうです。重なったところは傷みやすくなるからです。ジュースに加工するわけなので、見た目のキレイさは無関係のような気もします。しかし高品質なジュースづくりのためそこまでこだわっているのだといいます。

加工の作業はもちろん、充填や梱包など最後の工程まで手作業です。持ち帰った桃は、1つずつ状態を確認。まだ若い桃は追熟させるため寄り分けます。すぐ使えるものはいったん冷蔵庫へ。冷やしたら洗浄・皮をむき、目で確認しながらカット。色が変わりやすいため、ていねいかつ手早く作業を行わなくてはなりません。

搾汁も、ジュースに余計な熱がかからないよう数秒で済む機械を使用。そしてジュースには余計なものを加えたくないからと、香料は使っていないのだといいます。色止めに加えるビタミンCですら、加えるのが少し悔しそうな話しぶり。みかんと違って桃は酸が少ないため変色しやすく、やむを得ないのだそうですが。

そして加熱殺菌を行います。しかし加熱しすぎると色が黒くなってしまい、もとには戻らないのだといいます。そこでしっかり殺菌しつつ、加熱しすぎないギリギリを見極めることが必要なのだそう。そしてその「ギリギリ」は、ピューレの繊維の量やその日の気温によって変わるのだそうです。殺菌の作業は職人さんの経験が頼りなのだといいます。

これだけの手間と気配りのおかげで、素材の香りと余韻の活きた見た目も白く美しいジュースができあがるのです。

当たり前でなくなった「当たり前」を守っていくこと

これらのこだわりについても、松尾さんは「当たり前の作り方で作りたいだけなんです」と話します。

「当社は、特別に抜きんでた技術があるわけではありません。昔ながらの手作りのよさを知ってもらいたい、それだけです」と謙遜します。

しかし今の世の中では、松尾さんが守り続ける「当たり前」は当たり前でなくなってしまっています。効率や価格が優先され、味や安全性が後回しにされることも珍しくありません。効率化・低価格化を優先するせいで、かえって余計なものを加えたり余計な作業を行ったりすることもあります。

ただ、メーカーばかりを責めることはできません。メーカーが効率を優先するのも、「安いものが欲しい」という消費者の願いに応えているだけでもあるからです。松尾さんの言葉にあったように、問題がない範囲であれば価格とのバランスなのかもしれません。

それでも松尾さんはいいます。当たり前の商品もあるんだよ、とわかってほしいと。選択する喜びとして選択肢の1つに、お母さんが作るジュースのように手間を惜しまずに作ったジュースもあるんですよ、と。

「『いいもの』かどうかはお客さんの価値判断だから」と、松尾さんは自社の商品を「ほかよりいいもの」とは決して言いません。しかし価値観に合うのなら嬉しいと語ります。

同社では、開発中の新商品の試作品は子どもに飲んでもらうそうです。飲んだ子がごくごくと飲み干して「おかわり!」と言ってくれるかどうか、それを基準にしているのだそうです。子どもが美味しそうに飲み干してくれるのを見るとたまらなく嬉しい、と松尾さんは目を細めます。

子どもに飲ませたいジュース・自分が飲みたいジュースを作る。それが同社が今も守り続ける原点です。

実際にジュースの加工スタッフの皆さんは、自分が作っているジュースを贈り物として購入することがよくあるのだそうです。それは、味や安全性をよくわかっているからこそではないでしょうか。きっと、20年後も30年後も、今と変わらず「当たり前」の作り方でジュースを作っていることでしょう。

今回ご紹介した企業
株式会社 松尾 (和歌山県和歌山市北相生丁 )

フルーツ王国・和歌山県の和歌山市で1998年に創業。創業以来、和歌山県産のフルーツの加工を手掛けてきました。時間をかけて生産者の方々との信頼関係を築き、直接材料を仕入れています。安心・安全、高品質で最高のドリンクをお客様にお届けするため、昔ながらの製法にこだわって商品を製造。保存料・香料を一切使わずに、素材の味を堪能してもらえるよう1点1点手仕事で取り組んでいます。

「株式会社 松尾」の商品購入はこちら

産直お取り寄せニッポンセレクトへ移動します

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。